恋歌-Renka-




「お前………自分が何言ってるかわかってんのか!?」



「当たり前じゃん。わかってるから言ってんだよ」




私の大好きな人だけでなく
私の大切な人たちまで
傷つけようっていうのか………





どこまで腐った人間なんだ
霧山 遙ーーーーーーー





私もかつて心が
歪んでいた時期が
あったが………





ここまで酷くは
なかった………



と、思う……。




一体何がお前を
そこまで黒く染めたんだ?



「可哀想だな………お前」




「ハッ………俺が可哀想?いきなり何を言い出すんだ?」




「可哀想だよ………そこまで卑劣で腐った人間、初めて見た」




「そりゃあ、どーも」




霧山は少し顔を歪めて笑うと
そのまま私に顔を近づける





「一体何がお前をそこまで深い闇へ突き落としたんだ?」




今度は怯まず、ただ真っ直ぐに
前を見つめて霧山に問いかける




すると霧山は私の一言に
肩をビクッと揺らして
顔を近づけるのを止めた。





「私が変われたように、きっとお前も変われる。だから………」





「お前に何がわかんだよ!?」



ダンッ!!



今まで黙りコクっていた霧山が突然
ベッドを思い切り叩きつける




その酷く歪んだ顔から
かつて自分が人に対して
抱いていたような憎しみが
溢れてるような気がして……




「お前に何がわかる?親に捨てられ、施設でも疎まれ、養子に取られたって、あの人は仕事で忙しいから俺はいつも一人ぼっちだった…………あの人は俺を愛しちゃいない、ただの跡取りの道具だ。そんな痛みがお前にわかるのか?」






今にも泣きそうな声で
話す霧山の体は震えていて





掴まれている手から
嫌でも伝わってきた
その悲しみが………




そんな心に共感したのか



なんとも言えない
感情が私の中に生まれる。



縛る力が弱まった霧山の腕を払って
ゆっくり起き上がり彼を抱きしめた………




同情なんかじゃない



ただ、昔の私を
見てるような気がしたからーーー
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