来世にご期待下さい!〜前世の許嫁が今世では私に冷たい…と思っていたのに、実は溺愛されていました!?〜
第34編「若いのに頑張っているな、と思っていたんです」
 帰宅後――2人はまず洗面所で手を洗ってから床の間へ向かい、エアコンの電源を入れて買ってきたパスタを電子レンジで温める。
 その間とくべつ会話を交わすことは無く、座卓を囲み「いただきます」と声を合わせて言った後もただ静寂が流れるのみだった。

 恋幸にとって、裕一郎との間に生まれる静けさは決して苦痛ではない。むしろ心地良さすら覚える。
 しかし、つい数十分前に出会った縁人の口から出た『とあるワード』や裕一郎の放った“あの”セリフについて気になっていることも確かで、いつ話題に出そうかとタイミングを伺っている間にお互い晩御飯を食べ終わってしまった。


「……そういえば、」


 二人で座卓の上を片付けてから温かい緑茶を飲んでいた時、向かい側に座る裕一郎がおもむろに口を開く。
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