予知夢で香月くんが死ぬことを知ってしまった。





**

昼休みーー


「七瀬。ちょっと来て。」

「へ…?」


七瀬と四谷さんがお弁当を広げているとき、
俺は恐る恐る七瀬に話しかけた。

七瀬はキョトンと俺を見上げている。

あれ。久々にまともに顔見たけど、
こんな気ぃ弱そうなヤツだったっけ…


「いいけど…
大連くんも?」

俺の後ろで笑顔で立っている大連に目を向け、
遠慮がちにそう聞いてきた。

「そうだけど。」

「う、うん…わかった…」

「ちょ、待って!麻になんの話?
ここじゃダメなの?」

四谷さんが心配そうな顔で七瀬を止めた。

「ちょっと、込み入った話だから。
大丈夫だよ。すぐ戻る。」

嘘だけど。
これからすげぇ怖がらせようとしてるけどね。

「でも…」


「へーきだよ、よっちゃん。
香月くんは友達だから。ね?」

意外にも七瀬はそう言って、俺に笑いかけた。
不自然な笑顔。

それじゃ四谷さんも心配するわ。


てか、俺に怒られること予想してないのか?

付いてきて~って四谷さんに泣きつくと
思ったのに。


「行こう、香月くん。」


俺は黙ったまま七瀬を誘導した。

四谷さんは付いてこなかった。


「おい、香月…」

「いいんだよ。」


大連が渋そうにしてるけど、関係ない。

七瀬に一言も話しかけないまま、
俺たちは部室棟の裏まで来た。


< 20 / 121 >

この作品をシェア

pagetop