偽装結婚のはずが、天敵御曹司の身ごもり妻になりました
「本当に、私を好き?」


「ああ、こんなに嫉妬したのは生まれて初めてだ」


彼が困ったように眉根を寄せる。


「嫉妬?」


「俺以外の誰かを想っているのかって考えたから」


「そんなわけ、ない」


「今はわかるが、さっきはわからなかったんだ。察してくださったご婦人方には感謝だな」


「ご婦人方って、まさか……」


三野さんと加納さん?


ふたりともこの展開をわかっていたの? 


今日会ったばかりなのに?


長年の経験と勘って恐ろしい……。


「まあ、あの方たちは多くの経験を積まれているからな」


「う、うん」


「じゃあ、誤解も解けたしそろそろ戻ろうか、奥さん?」


そう言って婚約者は頬を緩める。

うなずく私を解放して、しっかりと指を絡めてくる。


「気持ちも通じ合ったし、今日からお前は俺と一緒の寝室だからな」


リーダーの元に向かう途中、さらりととんでもない発言をされて呼吸が止まりそうになった。


本当にこの人のほうこそ、私を翻弄しすぎだといい加減わかってほしい。
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