ふたりぼっちの孤城
わたしは、わたしを差し置いて対等な立場で2人が出かけたことが不快なんだ。

誤解だと分かってもその事実は消えないから引っかかっていたのか。

嫌なことがあったら、それを相殺するのが1番手っ取り早い。

つまり、デートにはデートを以て相殺するべきだ。

だから部屋に着くなり山吹にこう伝えた。


「柊のことは誤解だと分かったわ。でもデートは狡いと思うの」
「あれはデートではありませんよ。お互いの気持ちがなければデートとは呼びません」
「ネットには片方でも好意を持っていたらデートだって書いてあったわよ?!」


そう、もし間違いがあったらいけないと思い、ちゃんとデートの定義をネットで検索したのだ。

そしたら山吹と柊に該当する定義が出てきてしまった。


「ということで山吹、わたしとデートしてちょうだい」
「はい!?」


余程びっくりしたのか山吹が動かなくなってしまった。明らかに混乱している。

そんなにいけないことだったのだろうか。


「やっぱりダメ・・・?」
「いえ、いいえ、はい、しましょう!デート!」


不安げに尋ねると山吹は勢いよく了承してくれた。

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