ふたりぼっちの孤城
彼女に向けて言葉を吐けば吐くほど、私の言葉は軽くなっていくようだった。


「お嬢様!!」


彼女は私に目もくれずお部屋にお入りになった。

扉を閉じる音と共に私達の間に城壁が築かれた。

かつて彼女に拒絶されたときとは、私が彼女に向ける感情が全く違う。

あの頃には感じなかった恐怖が私を襲った。

全部、終わったと思った。

彼女との信頼関係も主従関係も今までの思い出も全部、全部、全部、全部。

私から光が消えた。

いつも私を照らしてくれた暖かい光を水から駄目にしてしまった。

私はいよいよ立っていられなくなって彼女の部屋の扉にみっともなく縋りついた。

もうここから動けない。

死ぬから今ここで死にたい。

壊れた人形のように扉を叩くことを辞められない。

力が入らなくて、コツリコツリと情けない音だけが私の耳に届く。

彼女の声が聞こえない。

拒絶の言葉すら恋しくなる。

自身の呼吸を意識した途端、どうやって息をしていたのか忘れてしまった。

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