ふたりぼっちの孤城
「僕が出世したらお嬢様の専属にしていただけませんか・・・?」


(あぁ、そういうこと?)


途中まで好印象だったがこの一言で急に冷めた。

最初からそれをお願いする為にわたしのご機嫌取りを必死になってやっていたのか。

とても腑に落ちた。

出来損ないのわたしにただ優しい言葉をかけるなんて無利益なことをするのは、6歳の頃からそばに居てくれる山吹だけだ。


「そういうのは山吹に一任しているの。だからわたしに言われても困るわ」
「そうですか。厚かましかったですよね、申し訳ありません」
「いいわ。・・・お風呂に入って寝るから、今日はもう下がってちょうだい」
「畏まりました」


せっかく仲良くなれそうだったのに、残念だ。

でも据え置くにはちょうどいい。

明日の担当が藤だろうが理沙だろうが何とかなる気がした。
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