ふたりぼっちの孤城
これ幸いと彼女をギュッと抱きしめた。

安心するいい匂いが胸を満たす。

ようやく帰って来れたのだと実感した。

頭をそっと撫でると所々髪が解れていることに気づいた。

慣れないことをしたからだろう。

明日になったら綺麗にしてあげようと心の中でメモをとった。

彼女は無防備に寝顔を晒している。

これは私への信頼の高さからきている。

それを裏切るわけにはいかないとキスしたいだとかそれ以上も・・・だとかそういう衝動を治める。

4日間休養をとる前日におでこにキスしてしまったのはノーカウントだ。彼女は眠っていたし。

そもそもあれは彼女が悪い。

寂しいからって甘えてくるなんて聞いてない。

そう、あれは外国人がする挨拶の1種だ。

彼女が望んでいないことを私は絶対にしない。

だから自分の気持ちは隠し通す。

少なくとも、彼女の隣に立てる権利を有するまでは。

だからさっきは危なかった。

久々の彼女に頭がいっぱいいっぱいになって思わず気持ちを口にしてしまっていた。

いつ好きになったか、愛したかなんて覚えていない。

気づいたら胸に秘めていた。

でも彼女に忠誠を誓った日は明確に覚えていくる。

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