ふたりぼっちの孤城
彼女はとても優しい。

普通は侍従を庇おうとなんてしない。

彼女の震える手をそっと握り、私の頬に寄せた。


「私はいなくなりませんよ。たとえ御当主様の命令であろうと私を異動出来ないくらいに強くなります。ですから、これからは真っ先に私を頼ってください。貴方の力になることが、私の存在意義ですので」
「そんざいいぎ?」


彼女にはあまりピンと来なかったのか、首を傾げた。だから言葉を砕いてもう一度伝える。


「はい。貴女の役に立てることが、私の生きる理由ということです」
「つまり、山吹はわたしが大事ってこと?」
「そうですよ。何よりも大事です」
「ふふ、うれしい」


私に抱きつきながら、彼女は花が咲いたように頬を緩ませた。

可愛らしい。

彼女の笑顔を守ろうともう一度心に誓った。

それから彼女の勉強は私が全て教えた。

そのおかげで私は彼女が何を知っていて何を知らないかを把握している。

だから、私は彼女が高校生になっても子どもの正しい作り方を知らないことを知っている。

教えていないんだから。

スマートフォンはバレないようにフィルターをかけ検索や広告を制限しているし、彼女にはそういうことを教える友人がいない。

彼女のもっている知識は、全て私によって与えられたものだ。

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