Tear Flowers〜新しい道の始まり〜
「これ以上、命を無闇に奪われてはいけない。だから、絶対に止めないといけない。必ず止めたい」

慣れない言葉だらけだったため、本当に小説家なのかと疑わられる語彙力になってしまう。フィオナが目をエヴァンから窓の外に向けると、そっと手に温もりが触れる。それがエヴァンの手だと気付くのに時間はかからなかった。

静かな車内で、動物園に着くまでフィオナはずっとエヴァンに手を握られていた。



動物園は、長い山道を通った先にあった。動物が盗まれるという事件があったため臨時休業をしており、いつもは車がたくさん止まっているであろう駐車場も、今は一台も止まっていない。

「お待ちしておりました。私はこの動物園の園長です。何でも協力いたしますので、犯人をどうか捕まえてください!」

動物園の事務室に案内されると、疲れ切った様子の園長が頭を下げる。シオンがすぐに微笑み、「お任せください。この事件を必ず解決いたします」と言った。

それから、園長に何か知っていることがないかシオンが質問をしたが、園長は何も知らないと答えるだけだった。防犯カメラは設置してあるものの、その犯人たちに壊されてしまったらしく、証拠もない。
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