Tear Flowers〜新しい道の始まり〜
「フィオナ?」

二人は戸惑っているが、説明をしている余裕などなかった。フィオナはらしくもなく騒つく胸を押さえ、ハンドルを握る。

捜査チームの部屋から車で二十分のところが現場だ。車を止めたフィオナは、エヴァンとサルビアを置いて裏通りへと入っていく。そこでは、特殊捜査チームの協力者が遺体のそばで待っていた。

「この方が被害者です」

協力者の近くには、胸をナイフで刺された五十代ほどの男性が仰向けになって死んでいる。そして、その周りには黒いバラの花びらが散らばっていた。まるで、フィオナの家族が死んだあの時のように……。

(私の家族は車のブレーキの故障により死んだ。でも、この男は明らかに誰かに殺されている。……私の家族は何者かに殺されたということ?この男との接点は?私の家族は事故死ではなく他殺ということ?)

フィオナは家族の身に起きた事故のことを考えながら、目の前の遺体を見つめる。もしも他殺だったなら、私は犯人を許すことができるのか?そう考えると体が震えた。

そんなフィアナを、心配そうにエヴァンとサルビアは見つめる。エヴァンはサルビアよりも、苦しげな表情でフィオナの横顔を見つめていた。
< 41 / 43 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop