ワケあり女子高生、イケメン生徒会と同居します。
私の席無くなっちゃったの!?

ど、どういうこと!?

私も自分の席を探すべく、教室の方へと視線を向けた、その時──────────

「はーい! 菜摘せーんせっ! 僕の後ろ空いてまーす!」

右手をピーンっと上げながらそう言ったのは、窓側の列の前から3番目の金髪男子。

っ……!!

-ドクンッ。

“男の子”、そう認識したと同時に、私の胸は一気にザワつき始めた。

パッチリ二重の瞳、窓から差し込む日の光に照らされて神々しく輝くムラのないキレイな金髪。

……その金髪は、“あの人”を連想させた。

「もう、林山(はやしやま)くん。勝手に机移動したでしょ?」

「へへっ♪」

困惑した藤崎先生の声に、悪びれる様子もなく、可愛い笑顔を向ける金髪男子。

よりによって金髪の男の子が目の前だなんて。

思い出したくないのに毎日“あの人”のことを思い出してしまう。

「でも、準備してた机はあれだけだし……桜川さん、あそこでもいい?」

先生が渋々ながらに指定したのは、窓側の後ろから2番目。

あの金髪男子の後ろ。

やっぱりそこなんだ……。

うぅ……かと言ってここで理由も言わずに嫌がったら変な感じになっちゃうし……。

それに、どっちにしても他に空き机はないわけで──────────

「……はい」

私は藤崎先生に(うなが)されるまま、指定された席へと歩いていく。

近づいていくと、徐々に私の席の周りの人たちの顔も見えてきて、私はぐっと息を呑んだ。

嘘……周りの席全員男の子だ……。

それが分かった途端、私の歩くスピードは一気に減速し、それに比例するように不安がどんどん募っていく。

どうしよう……。

-カタン。

「じゃあHR終わります」

私が席にたどり着いたのを見届けるなり放たれた藤崎先生のキレイな微笑みに、教室の中がドッと賑やかになる。

-ストンッ。

あぁ……ホント、どうしたらいいんだろう?

自分の席に力なく腰を下ろすなり、私はゆっくりと思考をめぐらせた。

藤崎先生に“全部”伝えて席を変えてもらう?

でも転校早々に席を移動するなんてなんか悪目立ちしそうだし……。

何かいいアイディア……──────────

-ヒョコッ。

!!?
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