桜が舞い、君に出逢う。
翌日、車から降りて校門に向かうと、

那由多が校門で仁王立ちをしていた。

「...何してるの。」

朝だから話しかけることが面倒だったけど、

相手が那由他だから気だるげに話しかける。

「...お前を、待ってた。」

ボソッと呟いた言葉に、顔を少し傾げる。

「忘れ物でもしてた?」

「いや、そうじゃなくて...」

もごもごとする那由多に、苛立ちを覚える。

「...早くして。」

「! ごめん。あの、さ...俺、昨日お前に救われたんだ。重たかった心が軽くなった。だから、今度は俺の番。お前が辛くなったら、俺を頼っていいから!じゃ、じゃあな!」

(また言い逃げだ)

恥ずかしそうに言葉を言うまでは良かった。

声が大きすぎてヒソヒソと噂をされるのは問題。

(まぁ、別にいいけど。)

バックを肩に掛け直して、教室に向かった。
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