御曹司の極上愛〜偶然と必然の出逢い〜
 意識は完全に彼女に向いているが、その間も式は進んでいく。

「次に城之内専務より、新入社員へお祝いの言葉をいただきます」

 司会者から名前を呼ばれハッとする。慌てた様子を表情に出さないように、そして隙を作らないように、改めて表情を引き締め壇上へ行く。皆の視線が俺に集まる。もちろん彼女の視線もだ。

「ようこそわが城之内グループへ。ここに居る皆さんは沢山の就職希望者から選ばれし人材です。城之内と縁があってここにいる。自信をもって仕事に励んでほしい。城之内に就職したことがゴールではなく、スタートです。そして、今年度入社した仲間は、同期でありライバルなのです。学生時代とは違う事を自覚してほしい。実力はもちろん努力は必ず報われる。誰かを蹴落とす事を考えるのではなく、誰かより一歩前に出る努力をしてほしい。私からは以上です」

 口調は丁寧にしかし淡々と話す俺を、女性社員達からは憧れの眼差し、男性社員からは尊敬の眼差しを感じる。そして、彼女はひとり真面目な表情だ。全く読めない……。





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