御曹司の極上愛〜偶然と必然の出逢い〜
 オフィス内を一通り綺麗にし、真琴はオフィスの一番奥にある社長室を目指す。

 社長と重役には個室があるが、それ以外の社員は各々好きな場所で仕事をする。便宜上、秘書のメンバーは個室の近くで仕事をする者が多い。真琴のお気に入りは、社長室近くの窓際の席だ。疲れたり煮詰まったりした時、窓の外に目を向けて遠くを眺めるとリフレッシュ出来る。そして、空から両親が見守ってくれている気がして安心するのだ。

 いつもの席に座り一息つく頃には、社に着いてから三十分程経っている。あと、十分もすると出勤ラッシュが始まるのだ。

 真琴がパソコンの電源を入れたタイミングで社長の花田が姿を現した。いつも真琴の次に出社してくる。

「月野さんおはよう。今日も受付の横に綺麗な花をありがとう。いつも出社して見るのが楽しみなんだ。お客様にも評判だよ」

「社長、おはようございます。いつも嬉しいお言葉ありがとうございます」

 真琴が花を生ける前は、観葉植物だけの殺風景な受付だった。城之内不動産はお客様が頻繁に出入りし、社長のお客様も多い。お客様を見送る度に物足りなさを感じた真琴が、社長に提案したところから始まった。







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