雨の日にしか会えないキミ
「へぇ、そうだったんだ……」
「体調が悪くて、
ベッドで1日寝ているときも、
窓からにぎやかな声が入ってきたとたんに、
体がひきよせられるように動いて。
気づけば、窓の外をのぞいて、
笑っているあなたを見つけてた」
「え……ごめん、うるさかった……?」
不安になってたずねる俺に、
彼女はやわらかく目を細めながら、
ふるふると首をふった。
「病室は、とっても静かだから。
あなたと、子どもたちの
楽しそうな声を聞いてると、
自分もそこにいるような気がして……
いつも元気をもらって、
はげまされてたんです。
病気がツラくても、その時だけはまぎれて、
忘れられた時間だった」