マリオネット★クライシス

そのまま2人を見守っていると、次の行先が見えてきた。
どうやらお化け屋敷らしい。

「ねえホントに行くの? 止めるなら今だよ?」
「ぶっ……苦手なら苦手って言えば?」
「に、苦手、じゃないよ! ジェイが嫌じゃないなら、その……」
「オレは全然大丈夫」
「そ、そう? それなら、その……でも止めるなら今のうちだよ? 男だからって、強がらなくてもいいよ、笑ったりしないし」
「だから、オレは大丈夫だって。ユウこそ、怖いなら――」
「ここ怖いわけないじゃないっ!」

平気だと言いつつ完全に引けているユウの腰を、可笑しそうに笑いながらジェイが抱き寄せる。
じゃれあうカップルのシルエットが完全に入口の向こうへ見えなくなってから、瓶底眼鏡の男は満足気な吐息をついた。


(これでしばらくは出てこないな。さすがにあの中じゃ撮影もできないし)


出口で待ち受けることにした男は、そちらへ歩き出しながらスマホ画面に指を滑らせた。
慣れた手つきでネットの検索窓に入力したのは、ユウの本名だ。

すぐに膨大な情報がリストアップされる。
プロフィール、写真、出演作情報、舞台挨拶でのコメント……etc.

スクロールしていた指が、とある記事のところで止まる。
そこには煽情的な見出しが躍っていた。


【あの人気子役の母親、マネージャーA氏と泥沼ダブル不倫! 愛の逃避行の行く先は!?】

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