マリオネット★クライシス

うわ、声裏返っちゃった。
今からこんなに緊張してるとか、なんか情けない。


ちょっと一旦、一人になろう。
少し落ち着いた方がいい気がする。

そんなこっちの切実な思いが伝わったのか、ジェイはあっさり「わかった」と頷いた。

「じゃあオレはこの辺で待ってる。ちょっと電話もかけたいし」

スマホを振る彼に頷き返して、足早にその場を離れる。

ひとまずトイレを探そうかな。

静さんがせっかく結ってくれた髪もかなり崩れてきちゃったし――と、ほつれて落ちた数本を耳にかけ……

途端。
キスの最中後頭部を支えてくれた自分のものとは違う手、髪に潜り込んだゴツゴツした指の感触……あれやこれやをリアルに思い出しちゃって、慌てて胸をきつく押さえた。

ま、まだドキドキしてる。

想うだけでこんなに苦しくなって、他の女の子と一緒にいるところを想像するだけで嫌な気持ちになって……自分だけを見てほしい、なんて。


……どうしよう。


会ったばかりだよ?
別の女の子のことが好きなんだよ?

わかってる。わかってるのに……。


この気持ちはたぶんもう、誤魔化せない。

わたし、ジェイが好きだ。


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