マリオネット★クライシス

どれくらい走っただろう。
足にも心臓にも限界が見えてきた頃、とある裏道でわたしたちはようやく足を止めた。

「疲れただろ。とりあえず、ここらへんで休もうか」

冷静に辺りを見渡した後、ひっそりとそこに建つビルを指すジェイ。
その呼吸は少しも乱れていない。それに引き換え、わたしは……

「はぁはぁ……ひぃ……ん、うん、そうしよ……」

息も絶え絶えで、汗だく。
ちゃんと鍛えてたはずなのに、って悔しいけど、本気でしんどい。
膝に手をついて身体を支え、ひたすらこくこく、首を縦にする。
ファミレスでもカラオケボックスでもどこでもいいから、とにかく早く座りたい!
それだけを考えて、彼の後に続いた。


ウィン……

静かな音とともに自動ドアが開いて、エアコンの冷気が全身を包む。

生き返ったぁ~って深呼吸したわたしは視線をあげて――それからやっと、その馴染みのない雰囲気に気づいた。

入ってすぐの、静かなロビー。
目の前にあったのは、碁盤みたいに等間隔に仕切られたパネル……写真?


「へぇ、こういうの初めてだけど、自分で好きな部屋選ぶんだろ? どこでもいい?」

部屋? 選ぶ? 
んん??

よくよく見ると、どの写真も中央にでーーんとキングサイズのベッドが鎮座してる。

ちょ、ちょっと待って。
待って……ここって……


……ラブホテルって言うんじゃありませんかーーーーーっ!!??



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※18歳未満未成年のラブホテル利用は法律で禁止されています。
高校生もNGだそうです。真似しないでくださいね。m(__)m

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