私だけを愛してくれますか?
ドンちゃんは、五年前に我が家にやってきた。
母の友だちの家に赤ちゃん猫が三匹生まれたので、そのうちの一匹を引き取ったのだ。
うちに来た時のドンちゃんは、手のひらに乗るくらい小さくて、真っ白のフワフワの毛につぶらな瞳の超かわいい子猫だった。
みんな夢中になって溺愛し、家族それぞれが食べ物を与えてしまったために、現在五歳、人間でいうと三十六歳のメタボ猫になってしまった。
ドンちゃんの本名は『ドンヒョク』だ。
韓流ドラマにだだ嵌まりしている母が、好きなドラマの主人公の名前をつけた。
小さな頃は『ドンヒョク』感もあったが、残念ながら、今は韓流ドラマの主人公どころか、『どすこい』のドンちゃんになってしまったけれど。
父は味をつける前の納豆を一粒だけ食べさせ、「ほら、もう終いやで。降りて降りて」と、ドンちゃんを追っ払う。
仕方なさそうに降りたドンちゃんは、陽当たりのよい窓際に寝転び、朝寝を始めた。
なんて自由なんだ!
寝たい時に寝る人生(猫生)。
私も生まれ変わったら猫になりたい。
来年の初詣の願い事は、『来世は猫になれますように』にしよう。
ひっくり返って、すぴーすぴーと寝るドンちゃんを横目に見ながら、身支度を整えに行った。