私だけを愛してくれますか?

朝五時半にセットしたアラームも、いつもなら何回か鳴らさなければ起きれないが、今日は一回で起きることができた。

せっかくのお休みに、なぜこんな早起きをせねばならん!

そう憤りながらも、私はクローゼットの前でいそいそと服を選んでいる。
 
梅雨明けはまだ先だが、きょうは珍しく晴れらしい。七夕の時期は雨が多く、誕生日が晴れなんて滅多にない。

ワクワクする気持ちはそのせいだ…ということにした。

あまり張り切りすぎると恥ずかしいし、半分仕事のようなものなので、動きやすいネイビーのワイドパンツにライトブルーのニットを合わせることにした。

足元はバレーシューズにしよう。坂道が多い神戸なので、歩きやすさ重視だ。

大きめのカバンに、資料などを詰め込む。思った以上に重くなったので、車で行けるのは助かった。

仕事中には一つに結んでいるだけの髪も編み込みにし、化粧も普段よりは念入りに施す。

最後に姿見に映った姿は、どう見ても気合十分の私だった。

「ぶみー」

朝からゴソゴソしていたので、ドンちゃんが起きてしまった。

気乗りしない様子を装いつつ、しっぽをパタパタさせているのは、『しょうがないな、散歩につき合ってやるよ』というツンデレか?

もう、ドンちゃん大好き!でも今日はダメなのよ。

「ごめん、ドンちゃん。今日は散歩行かれへん」

頭を撫でながら謝ると、ドンちゃんはフンっというように出ていってしまった。

怒らせたかと、慌てて追いかける。「帰ってきたら遊んであげるからね!」ともう一度撫でまわすと、貫禄たっぷりに「なぁーご」と返事をされてホッとした。

気分屋の彼氏のご機嫌を取ってるみたいだよ…

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