元婚約者の弟から求婚されて非常に困っています

お父様は、

少しゆっくり今後のことを考えなさい

なんて、言ってくださったからお言葉に甘えてるけど、私もビクター伯爵家の一人娘。

家門を守るためには早く次の婚約者を探さないといけない身の上。

私が男だったら心配せずともビクター家を継げたのに。

そんな考えが頭を過ぎったその時。


「エレノアお嬢様、いくら伯爵様がゆっくりしなさいと言ったからってダラダラしすぎです」

突然声をかけられ私は恐る恐るその声のする方を振り返る。


「ルーナ…」

いつの間に部屋に入って来ていたのだろうか専属メイドのルーナが呆れたように立っていた。


「お嬢様、あんなことがあった後で何も手につかないのはわかりますがこう何日もお部屋から出てこないのはどうかと思います。そうだ!ちょっと気分転換にお散歩でも致しませんか?街に出てショッピングでもいいですし」

ニコッと微笑んでいるのに、有無を言わせない 圧力を感じる。

ルーナこと、ルーナ・キティは、私より10歳年上の26歳。

私にとっては優しくも厳しい年の離れた姉のような存在だ。




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