元婚約者の弟から求婚されて非常に困っています


そして、彼女はぽつりぽつりと、当時の状況を語りだした。


「…私、実は前からリアム様に少し憧れていました…もちろん、恋愛というわけではないのです。ただ、純粋にエレノアお嬢様とお似合いだな…って、二人に幸せになってもらいたいなって…最初はそう思ってたんです」


その時のことを思い出したのか、アリスはフッと自嘲的な笑みをこぼす。


「…だから、リアム様がお嬢様とノエル様の手紙について、幼馴染の範囲を超えている。2人があまりにも仲が良すぎる、婚約者として心配なんだ…そう言われて…断りきれなくて…お嬢様へのお手紙を勝手に隠して…それをリアム様に渡していたなんて…今考えれば本当になんて馬鹿だったのかと思います」

唇をギュッと噛み締め、泣きそうな表情のアリス。


「…そうね、従者として主を裏切ることはあってはならないはね。例え、どんな理由があろうと」


「はい…心得ております」

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