元婚約者の弟から求婚されて非常に困っています

本当に、たちが悪い。

だって、もう全部わかってるくせに…。

私があなたのキスを受け入れたことだって、気づいてるんでしょう?

言葉にしなくたって。


そんな思いを込めて、真っ直ぐにノエルの綺麗な瞳を私は、見つめる。


一瞬、ノエルの瞳が不安気に揺れたのを私は見逃さなかった。


そして、


「言ってよ。エレノア…。君の口から聞きたいんだ」


ギュッと、私の手を握り、切なそうにそう言葉をもらす。


微かに震えるノエルの手を私もキュッと握り返す。


…何をそんなに不安に感じているのか、わからないけど貴方ががそれを望むなら。


「…好きよ、私、ノエルのことが…好き」


そう言って、今度は私からノエルの身体を優しく抱きしめたのだった。

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