元婚約者の弟から求婚されて非常に困っています
馬車を走らせること数十分。
私とノエルは、今日のパーティーが開催される邸宅に着いていた。
ここがミラー公爵家。
広大な庭園とそれに負けないくらい立派なお屋敷。
流石にここ一帯を取り仕切っているミラー家の邸宅ね。
「エレノア、緊張してる?」
馬車をゆっくりと降りる私に手を差し出しながらノエルは言葉を紡ぐ。
「…ううん。緊張はしてないけれど不安要素はいくつかあるわね」
彼の手をサッと握り、エスコートを受けながら私は答えた。
「不安要素って?」
「まず、ミラー公爵家が私達に招待状を送ってきた意図がわからないわ。だって今までミラー家とはあまり関わったことがないもの。コックス家と親しいとも聞いたことがないし」
ミラー家は、公爵家だ。
私の家よりも爵位は上だし、ミラー家に知り合いがいるわけでもない。
勿論、数あるパーティーの中で何度かミラー家の方を見かけたことはあるがどれも社交辞令的な挨拶だけで済ませていた。