大和の風を感じて2〜花の舞姫〜【大和3部作シリーズ第2弾】
雄朝津間皇子(おあさづまのおうじ)瑞歯別大王(みずはわけのおおきみ)の部屋を後にして、自分のいる宮に戻るべく馬小屋に向かった。

「兄上のやつ本当に勝手だよな。会うだけならまだしも、相手の姫をこちらに向かわせる手配までしていたなんて……」

確か忍坂姫(おしさかのひめ)は自分よりも3つ下だったはずだ。とすると今は15歳ぐらいになっている。
確かに小さい頃しか会ってないので、そんな彼女がどんな娘に成長しているかは全く分からない。

「凄いおしとやかな娘に成長しているとは、流石に考えずらいよな。確か妹もいて、妹の方は割りと可愛い感じだったのは覚えてる。どうせなら妹の方だったら良かったのに」

(まぁ、もう諦めて会うしかないな……)


そして歩いていると、彼は馬小屋にたどり着いた。
そこにいる見張り人から馬を受け取り、さっと馬に股がった。

(とりあえず、宮に早く帰るとするか)

「じゃぁ、俺は戻るとする。コイツの面倒有り難う」

そう皇子が言うと、見張り人の男が彼に歩み寄って来た。

「はい、雄朝津間皇子。帰りの道中お気をつけて!」

そして雄朝津間皇子は宮に戻るべく馬を走らせた。

(そう言えば、俺の宮付近で盗賊が出てるって話しがあったな。今日は一人だから用心して帰らないと)

こうして雄朝津間皇子は自分の宮へと戻って行った。
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