聖女としてきたはずが要らないと言われてしまったので、異世界でふわふわパンを焼こうと思います。
守れてよかった、と思いました。


 目が覚めると、天井には煌びやかなシャンデリアが付いている。

 私、戻ってきたんだ……よかった。



「……メルっ目が覚めたのか!?」

「っギル、バードさま……」

「よかった……! い、医者を呼んでくる。少し待ってて」


 ギルバード様はここから離れようとしたから私は、彼の腕を掴んだ。


「行かないで……私の話、聞いてくれる?」

「あぁ。うん……分かった」

「ギルバード様、私この世界の神様に会ったんだ……その人が私を選んだんだって。それで私、戻るか止まるか選べって言われたの」


 さっき神様に言われたことをギルバード様に言う。


「メルは、なんて答えたんだ」

「私はこの世界にいることにした。あんなに帰りたかったのになんでだろうね……なんか、ギルバード様と会えなくなるのは嫌だなって思ったの」


 きっと今頃、私の存在はお父さんの記憶から消えただろうな。寂しいけど、私だけが覚えていればいい。



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