聖女としてきたはずが要らないと言われてしまったので、異世界でふわふわパンを焼こうと思います。
硬すぎなパン


 ……え? 聖女ってなんなのかわからないのに、聖女じゃない? どういうこと!?


「あなたにはここから出ていってもらいます」

「はい!?」


 意味が分からないまま、私は屋敷から追い出された。でも私はどうすれば……それに日本に帰れるのか。

 外国っぽいし、大使館とか探した方がいいのかも。でも、ここがどこかも分からないしパスポートも持っていない。


「お嬢さん、こんな場所でどうかされたかな?」

「へっ?」

「私はオスマン・セダールントだ。ここじゃ通行の邪魔になってしまう」

「ごめんなさいっ」


 私は頭を下げる。私なにやっているんだろう……早く帰りたい。


「大丈夫かい!? いや、泣かせるつもりはなかったんだ、すまない」

「私……泣いて――」


 そう言った瞬間、彼に横抱きされた。



< 5 / 141 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop