You...〜私の気持ち〜 season1

5.春

お兄ちゃんたちが卒業して、2回目の春を迎え、
私は受験生になった。

時々遊びに来ていた藤堂先輩だけど、私は数回しか会えていなかった。
会ってもたいした会話もできずに終わってしまう私。ダメだなぁ。もっと先輩のことが知りたいのに。


今日は、桃と隼と(たける)と一緒に桜を見に来ている。

桃『満開だね!あっ、りんご飴食べたい。行こう隼!』

隼『待てよ、桃!』

美「ちょっとー。」

健『桃は相変わらずだな。美桜は何が食べたい?俺買ってくるよ。』

美「たこ焼きかなぁ!でも、一緒に行くよ。」

健『いいよ。ここで待ってて!』

美「わかった。」

一人で待ってるのも寂しいんだけどなぁ。
でも、綺麗だなぁ。

『美...桜ちゃん?』  美「えっ?」  
嘘っ。先輩?

美「先輩。」

『はるー、どうしたの?知り合い?』
春『お、おん。ちょっと先に行ってて。すぐ行 くから。』
『わかった。早く来てね。』

可愛い人...彼女かな?きっと、そうだよね。

春『久しぶり。元気?』

美「はい!なかなか会えないですもんね。」

春『結構遊びに行ってるんだけどね。すれ違いだよね。』

美「あれ?今日は、お兄ちゃんも一緒ですよね?先輩と遊ぶって言って、私より先に出かけたんですよ。」

春『今、買い出しに行ってる。ちょっと座らない?』

美「は、はい。」

春『てか、桜綺麗だね。』

美「はい。
 自分の名前にも入ってるからか桜が好きで、毎年春が楽しみなんですよね。」

春『美しい桜...』   美「えっ?」

春『美桜ちゃんの名前。綺麗な名前だよね。』

美「照れちゃうんでやめてください。先輩の季節でもありますよね。」

春『あー、春ね。確かに!俺らの共通点だね。』

先輩との共通点。前から気づいてたけど、改めて言葉にすると照れちゃうな。でも嬉しい共通点。

春『受験勉強どう?』

美「聞かないでください。お兄ちゃんが塾選びから参考書まで、何から何まで準備して張り切ってます。」

春『想像できる!どこ受験するの?』

美「◯◯がいいんですけど、家から遠いから親は反対してて。お兄ちゃんと同じ所なら安心するみたいなんで、
 △△高にしようかなぁって感じです。」

春『俺、◯◯だよ。』  美「えっ??」

春『知らなかった?那桜に聞いてない?』

美「聞いてないです。お兄ちゃん、あんまりそういうこと話さないんで。」

春『そっか。同じ高校になれるといいのにな。』

美「えっ?」     

春『あっ!ねぇ、連絡先聞いて良い?』

美「は、はい!」

春『もし、高校のことで気が変わったっていう事があったり、聞きたい事があったり、何でも
 いいから、気軽に連絡して。』

美「ありがとうございます。」

春『美...桜っと。』    美「えっ?」

春『名前登録した。てか、美桜って呼んでいいかな?俺のことは、春瑠でいいから。』

美「よ、呼び捨ては...お兄ちゃんに怒られそう。じゃあ、春瑠君にしますね。」

春『(笑)いいよ。』    健『美桜!!』

美「健!」

健『探したって。あっ、藤堂先輩?』

春『久しぶり!健。』

美「あー!そっか。二人部活が一緒か。」

健『そう!先輩一人っすか?』

春『いや、友達が向こうで待ってる。二人って仲良かったんだな。』

健『クラスがずっと一緒で。俺たち付き合ってるんですよ。』

春『あっ、そうなんだ。』

『はーるー!もう、早く来てよー。』

健『先輩も彼女さんと一緒だったんですね!俺らも早く行こう。みんな待ってる!じゃあ、失礼
 します。ほらっ!』

美「う、うん。じゃあ、また・・・」

先輩ともっと話したかったな...てか、連絡先交換しちゃった...嬉しいけど...
先輩、やっぱり彼女いるよね。私も...

健がいう通り、私たちは付き合ってる。
ずっと仲が良い友達だったけど、桃と隼が付き合うようになったことがきっかけで、よくwデートに誘われて出かけてるうちに、流れで付き合うことになった。健はすっごく私を大切にしてくれるから不満はないけど、私の中のどこかで先輩を意識してしまう自分がいる。
ダメだなぁ。
彼女もいるし、そろそろ諦めなきゃ。友達として。お兄ちゃんの親友として。ちゃんと意識していこう。
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