恋に異例はつきもので
第6章 大嵐のち快晴!
「部長と何かあったの?」

『ヤマモト』に打ち合わせに行ってから3日経った。

 あれ以来、わたしと部長のあいだにはなんとなく気まずい空気が流れていた。
 もちろん仕事上、必要最低限の会話は交わしていたけれど。
 そんなわたしたちの様子を案じて、米川さんがそっと声をかけてくれたのだ。

「いえ、なんでもないことは……ないですね」
 あれから、冷静になって考えたら、わたしもやり過ぎたかなと反省していた。
 いや、あのときの一連の元カレ発言は、どう考えても部長に非があると思うけど……
 でも、上司の足を蹴っ飛ばしたのはまずかったよなー、やっぱり。

 思いかえせば、あの、沙織先輩にごちそうになった夜。
 部長の第一印象があまりにも悪すぎたのだ。
 だから、部長を上司と認識する以前に、この男にはどんな態度をとっても、どんなことを言ってもいい、と思っていたような気がする。

 異動してきて以来、だいぶ失礼を重ねていたような気が……
 でも、部長もそんなわたしを鷹揚に受け止めてくれていたんだけど……
 結局、そんな部長に甘えすぎてたってことだ。
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