恋に異例はつきもので
 改札前で別れるとき、部長は軽く頭を下げて「今日は来てくれて助かったよ」と言った。

「でも思ったとおりだった」
「何がですか?」
「辻本なら、香穂とうまくやってくれるだろうなと思ってたから」

 そう言いながら、前髪をかきあげる。
 照れたときの癖だ、部長の。

「お役に立ててよかったです」
 わたしがそう言うと、部長は微笑み、香穂ちゃんと改札に向かった。

「花梨ちゃん、また遊ぼうねー。絶対だよー」

 香穂ちゃんはいつまでも手を振ってくれた。
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