DAYS -静かに積み重ねた私たちの日々-
卒業式



今日、私たちは卒業する



3月15日


昨日、私は西浦からのメッセージに返信できなかった。
いろんなことが頭の中を巡って、ほとんど眠れないまま卒業式の朝を
迎えた。


通いなれた教室も、今日で最後かと思うと妙に感慨深い。私より早く来て
いた西浦は、いつものように友達とじゃれ合っていた。渡された花の飾りを
制服の胸元につけて、顔を上げたら一瞬西浦と目が合った。
すぐに俯いてしまった自分に腹が立った。


ほとんどの友達が一緒に高等部に進学するってわかっていても、やっぱり
卒業式では泣いてしまった。
並んでいる在校生の間に出来た花道を西浦が通ったとき、多くの下級生が
涙まじりの声を掛けていたのが印象的だった。


式の後、予想通り西浦は大勢の女の子達に囲まれていた。握手したり一緒に
写真を撮ったり、後輩だろうか、輪から離れたところで泣いている子もいた。
しばらくしてテニス部のメンバーが顔を揃え、同級生も下級生もみんな彼らに
カメラを向けていた。



友達と別れて、私は約束の場所に戻ってきた。窓の外にはまだ女の子たちの
人だかりができていて、その中心にいるのが西浦を含めたテニス部のメンバー
であることもわかっていた。
西浦と出会って、西浦を好きになったこの教室。ここで今から私は彼に何を
伝えることができる?


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