コンチェルトⅡ ~沙織の章

それに 休日は 家族揃って出かける。

紀之は 子供達を 色々な所へ 連れて行ってくれた。


智之達や お父様達も一緒に 大勢で出かける。


子供達も沙織も そんな休日が 大好きだった。
 


「廣澤さんって お嫁さんよね。お義母様とすごく仲が良くて。実の娘かと思ったわ。」

沙織は 幼稚園のママ友に 言われたことがある。
 

「父と母には とても可愛がってもらっているから。実の親よりも 甘えてしまうの。」

沙織は笑顔で答える。


みんな驚いた顔で 沙織を見る。

「やっぱり 余裕のあるお家は 違うわ。」


樹が通う幼稚園は 生活レベルの 高い家庭の子が多い。


その中でも 廣澤工業の 経営者の家は 特別だった。
 

「そんなことないわ。お母様が 良くできた方だから。」

沙織は 穏やかに首を振る。


ママ友達は、
 

「でもねえ。やっぱり違うわよ。」

と口々に言う。


沙織から 滲む雰囲気も そのくらい 上品な特別感があった。



数年前までは 普通のOLで 銀行勤めをしていたとは 思えないくらい。
 








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