コンチェルトⅡ ~沙織の章

翔の 幼児教室がなくなって 時間の余裕が できた沙織は 

積極的に 土地を探した。


近くの 不動産業者に 顔をだすと 
 

「松濤は 難しいですね。少し 範囲を広げるか マンションを 検討したらどうですか。」

と言われて 沙織は 肩を落とした。
 

麻有子は 絵里加の受験準備が 本格的になり 毎日 忙しくしていた。
 

「女の子の倍率は 男の子の 倍以上になるらしいの。絵里ちゃん、無理だわ。」

麻有子は 不安そうな顔で言う。


樹達の小学校の定員は 女子が 男子の半分だから。

麻有子が言うように 女の子は難しい。
 

「麻有ちゃんが 受験に 飲み込まれたら駄目よ。まだ 半年もあるんだから。」

沙織が 麻有子を励ますと お母様は クスッと笑って
 

「沙織ちゃんも 翔の時は 相当 飲み込まれていたものね。」

と言う。
 

「はい。でも あの時 紀之さんに 翔に 一番良い結果が出るって 言われたの。合格しない時は 翔に 合わない時だからって言われて。私 すごく楽になったの。」

沙織が 笑顔で言うと
 

「お兄様、すごいわ。そうよね。縁があれば 合格できるのよね。」

麻有子の目は スッと明るくなる。
 

「そうよ。智之と麻有ちゃんだって 縁があったから 出会えたのよ。」

とお母様に言われ 
 

「もう。お母様。」

と言って 麻有子は 頬を染める。


沙織は お母様と 顔を見合わせて笑った。
 


昼間 女性3人で 過ごす時間は 温かくて優しくて。



だからこそ 沙織は 早く 麻有子達の家を探したいと 強く思っていた。
 
 









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