コンチェルトⅡ ~沙織の章

付き合っていた頃からずっと 

紀之は 豊かな優しさで 沙織を包んでくれた。


裕福なだけでなく 心から豊かに暮らせたのは 紀之と一緒だったから。
 

豊かな生活しか 知らない紀之が 

もし 無一文になって 心が崩壊しても 

沙織は 側にいて 紀之を 元に戻してみせる。


沙織が どんな仕事でもして 紀之と子供達を 養う。
 

今まで紀之が 沙織に 与えてくれた優しさは 消えないから。


それに 紀之は 何があっても 立ち直れると 信じられるから。
 


「紀之さん 新しい洋服 買って。」


紀之の胸から そっと 顔を上げて 沙織は言う。
 

「何だ。おねだりかよ。」

紀之は 一層優しい目で 沙織を抱きしめる。



今は こんなに 豊かだから。

心配しないで 紀之に甘えよう。
 


「久しぶりに 二人で デパート行こうか。」

恥かしそうに言う 紀之に 甘く頷いて 沙織は 唇を重ねた。
 
 










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