Tear Flowers〜快楽は毒に変わる〜
「ありがとうございます」

フィオナはそう言い、笑顔のローズから廊下に目を向ける。ローズは明るく優しいことからこの学校の生徒から人気があり、「ローズ先生!」と廊下を歩けば誰かが声をかける。そんな彼女が昔はかなり荒れていたなど、きっと誰も信じないだろう。

「フィオナ先生、今度の日曜日よかったら一緒にランチでも行かない?フィオナ先生のことをもっと知りたくて……。ゆっくりお話ししたいのよ。どこでピアノ習っていたとか」

そうローズが言い、フィオナはどうすべきか悩む。フィオナは潜入捜査をしている身であって、音楽学校に行っていたわけではない。教員免許も持っていない十八歳だ。ピアノは独学でマスターした。

「申し訳ありません。日曜日は、外せない用事があるんです」

少し悩んでフィオナは断ることにした。用事などないが、潜入捜査をしていることがバレるわけにはいかない。

「それなら仕方ないわね。なら、また今度にしましょう!」
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