不条理なわたしたち
５
三日後の土曜日の朝。
今日は蓮水さんとデートする約束した日だ。


「今日は映画を観に行こうか」

ソファに座りながら蓮水さんが言った。
おそらく妊娠初期の私の身体を気遣ったプランなのだと思う。

「分かりました」

私は笑顔で返す。

「どの映画を観るか一緒に決めよう」

蓮水さんの提案に私が「はい」と再び笑顔で返すと蓮水さんは私に身体を寄せてスマホの画面を見せた。
そこには上映中の映画のタイトルがズラリと並んでいる。

「葵ちゃんは観たいものあるかな？」

蓮水さんは思った通り、私に訊ねた。
蓮水さんは強引に決めることもあるけれど、基本的には私に委ねる。
少しずつだが蓮水さんが為人《ひととなり》が分かってきた。
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