不条理なわたしたち
「ここじゃ話せないな。出よう。マスター、お金置いていくよ。お釣りは要らない」

蓮水さんは私の了承すらとらずにそう言って一旦私の手を解放するとジャケットから財布を取り出して一万円札を置き、再び私の左手を掴んだ。

「あの!待って下さいっ!」

「ここで騒ぐのは迷惑になるよ」

店内にはお客さんが居る。

私はグッと堪えた。


「勝手なことをしないで下さい!今のお金返します!」

お店を出るとすぐに蓮水さんに文句を言った。


「要らない。俺が勝手にやったこと。それに君もお金を勝手に置いて行ったじゃないか」

今すべきなのはまずその話じゃない。

「私はそんなつもりはないですから!」

「じゃあ、君は赤ちゃんを殺すの?」


蓮水さんから出た怖い単語に私は動けなくなってしまう。
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