最強総長は闇姫の首筋に牙を立てる~紅い月の真実~
「今の言い方だと俺様が化け物みたいに聞こえるなぁ……」

「ヒッ!兄貴、すみません!!」


「違うんです。化け物ってのは半端野郎のことで……。決して兄貴のような生まれながらに高貴な存在とは比べものになりません!」

「それならいいけどよぉ。
弁明があと少しでも遅れてたら、オマエらの身体に穴開けるとこだったぜ」


「あはは…。兄貴は冗談が上手いっすね」

「それでアイツはどうするんすか?」


「ほっとけ。どうせアレを打たれたんじゃ長くは持たない。仮に生き残れたとしてもソイツに待っているのは……地獄だ」

「そうっすね。掃除も終わったことですし、帰りましょう。狗遠(くおん)総長!」

「気安く本名で呼ぶな」


「あなた達、なにをやっているの?」


突如、闇の中に現れた一人の少女。


「や、〝 闇姫 〟……」

「見間違いじゃねえ?」


「オマエらの目は揃って節穴か?
あれは間違いなく〝 闇姫 〟だ」


黄金に輝く長い髪。

視線を合わせれば吸い込まれそうになるほど美しくも儚いルビー色の瞳。


少女は男達から、いや、裏社会の間でそう呼ばれていた。


【闇姫に会ったが最後、命を狩られ魂は天国にも地獄にも行けない】


そんな噂が囁かれるようになった。
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