悪夢
夜、目が覚めた。時計の針は午前三時過ぎを指している。ゆっくりとベッドから体を起こすと、生温い夏の夜風が頬を撫でた。見ると、寝る前に閉めたはずの窓が開いている。
…何だ?
違和感があったが、寝ぼけた頭で考えていても仕方がない。眠い目を擦りながら窓へ手を延ばす。
「───え…」
すると、暗い窓ガラスに映ったのは、月明かりに照らされた自分の顔と…血みどろになった部屋だった。
一瞬、息が止まったかと思った。
床に無惨に転がっているのは家族だ。見慣れたカーテン、見慣れた机に見慣れた本棚。…ここは間違いなく自分の部屋。
「───っ」
叫び出しそうになった瞬間…もう一度目が覚めた。また、ベッドの上。しかし、窓は閉まっていて、辺りには血の一滴も見当たらない。
…夢。
「なんなんだ一体…」
額に滲んだ脂汗を拭って、深いため息を吐いた。
「…片付けてなかったかと思ったよ。」
< 1 / 1 >

ひとこと感想を投票しよう!

あなたはこの作品を・・・

と評価しました。
すべての感想数:11

この作品の感想を3つまで選択できます。

この作家の他の作品

成人の箱
寝弧/著

総文字数/11,917

青春・友情6ページ

尾を噛む蛇
寝弧/著

総文字数/11,327

その他4ページ

この作品を見ている人にオススメ

読み込み中…

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop