復讐日記
煽り運転
 最近流行りの煽り運転てやつ。
 金曜日、同僚の車で家まで送ってもらった際、後ろにピッタリくっついて走る車、これが煽り運転てやつかー、と思った。
 暫く煽られて追い越し車線のある道でやっと追い越してくれた。
 向こうにしてみれば、どけどけ俺様が通るってなもんだろうけど、こっちにしてみたらピッタリくっついてきてコバエみたいで邪魔くさいったらない。
 追い越してった後は今度は前の車の後ろにピッタリくっついてずっと走ってた。どうやっても煽って前に進みたいらしい。
 もう空飛んでさっさと消え失せろよ、私の視界に今お前が一番邪魔くさい、1人でサッサと事故れ、と呟いた後、運転する同僚が、
「ああいう中堅クラスの車種にいきがって乗るチンピラがよく煽って来るのよ」
 と言った。
 同僚の車は高級車ではないがプロの手によってチューンナップされており、見る人が見れば走り屋だとわかる車だ。頭のおかしな奴は身の程知らずに挑みたくなるものらしい。
「今日のはまだ大人しいほうよ。こないだのなんかしつこかったなー。パトカーが現れてくれて救われたけど」

 ちょっくらちょっと前を走るあいつにお仕置きだな。
 まずこの幹線道路から外れてもらわないことには他の車を巻き込んでしまう。同僚が「空飛んで」と言ったので、仰せの通りに空を飛んでもらおう。
 煽り野郎の車のタイヤに意識を集中する。一瞬キュキュッと音を立ててタイヤが空回りし、ハンドル操作を誤ったように車体が左右に大きく揺れた。充分に車間距離を取って後ろを走っていた同僚も驚いてブレーキを踏んだ。
「びっくりしたー。シャシーでも割れたのかしらね。ザマミロだわ」
 と笑う同僚。なるほど、シャシーを割るって手もあるか。更にテールに意識を集中した。
 バキバキっと大きな音がしてマフラーが火を噴いた。
「嘘! 爆発しちゃう?!」
 と同僚が叫んだ途端、煽り野郎の車がまるで滑走路を離陸する飛行機のようにフワッと浮いた。慣性でそのまま前に進んでしまうと前を走る車に当たってしまうので、そのまま歩道の上を飛んでひっくり返ってもらうことにした。更に2、3回転してもらってシートベルトが切れて天井に頭をぶつけたら死ぬわよね。
 歩道には人も物も無かった。良かった。
 一丁上がり。

「警察にドライブレコーダーを提出しなきゃね」
「うちらの会話も入ってるから、ほんとに空飛んだって驚くわよー」
 人が1人死んだってのに、不謹慎なことこの上ない。

【Y.S女史の投稿を元に許可を得て脚色しました】
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