奏でる愛は憎しみを超えて ~二度と顔を見せるなと言われたのに愛されています~
突然のラプソディ


ふたりが暮らしているマンションに、思いがけない人物が入居してくることになった。奏の義弟の京太だ。

大阪の大学を卒業した京太は、間野コーポレーションに就職した。
間野家に住むのを嫌がったため、このマンションの空いていた部屋に入居することになったのだ。

奏の部屋より数階下だが、独身の京太ひとりが住むなら十分な広さがある。

「梨音。京太がこのマンションの下の階の部屋に引っ越してくる」

奏は気が進まないが、梨音にも伝えておくことにした。

「京太さん?」

「一度くらいは会っておくか?」
「奏さんの弟さんでしょ?」
「義理だがな。梨音はあまり関わらなくていいから」
「わかりました。でも、奏さんはそれでいいの?」

奏は母ともあれから会っていなかったし、父にも梨音を紹介してはいなかった。
奏は間野家の人間と梨音が関わらせたくなかったのだ。

「いいんだ。俺たちは関係ない話だから」

奏は梨音に大学で学ぶだけではなく、もっと才能を伸ばすための手助けがしたかった。
有名な作曲家に作品を見てもらう機会も作った。

(穏やかなふたりだけの暮らしがこのまま続けばいい)

本音を言えば、音楽家としての成功よりそちらの方が望ましい。
梨音の世界では『奏』が一番であって欲しいのだ。




< 32 / 120 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop