凄腕パイロットの極上愛で懐妊いたしました~臆病な彼女を溶かす溺愛初夜~
「あの、今日沖縄で皆と食事をしませんか? 空港近くで遅くまでやっている美味しいお店を見つけたんです」

 彼女のドキドキと高鳴る心音が空気を通して伝わってくるようだった。

 自惚れではなく、確実に好意を持たれている。

 ニューヨークでの食事の際、隣に座った彼女はなにかと距離が近く、どさくさに紛れてボディタッチもしてきた。

 菜乃と交際を始めたと報告をした数時間後にだ。

 正直あまりいい印象を抱いていない。こっちは仕事をしにきているのだから、色恋沙汰を持ち込まれたくない。

 そこまで思考が及んではたと気づく。

 菜乃に会いたくて二階堂を振り切り、ひとりでさっさとここまで来た俺が言える立場じゃないか。

 思わずふっと笑っていた。

「……行けそうですか?」

 目の前の彼女は俺の笑みを肯定的に捉えたらしく、張りつめた表情を解いてぱあっと笑顔になる。

「今日は三フライトで疲れているんだ。申し訳ないが、またの機会に」

 さらりと告げると、CAの表情が一変して曇る。
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