凄腕パイロットの極上愛で懐妊いたしました~臆病な彼女を溶かす溺愛初夜~
「さっきのはなんでもない。二階堂の落としたハンカチを、俺のものだと勘違いして届けに来たみたいだ」

「そうなんですね。あれ? と思ったけど、さすがにフロアで、人目をはばからず虹輝さんにアプローチはしないですよね」

 どうやら俺が過剰に心配しすぎのようだ。大人な反応を見せる菜乃にホッと安堵する。

「体調はどう?」

「問題ないです」

 青白い顔で言われても全然納得できないんだが。

「次の休みは被ってるよな? 久しぶりにうちでゆっくり過ごしたい」

 菜乃は一拍置いて「はい」と答える。

 その間はなんだ。菜乃がなにを考えているのか最近よくわからない。だからこそ明後日の休みの日に彼女の不満を吐き出させたい。

「行ってくるよ」

「行ってらっしゃい」

 菜乃の肩にポンッと手を置いて通りすぎる。後ろ髪を引かれる思いだったが、互いに業務時間内なのでこれ以上の私語は慎むべきだ。

 それから二階堂と合流して飛行機の点検を行い、管制官からの指示を待った。

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