凄腕パイロットの極上愛で懐妊いたしました～臆病な彼女を溶かす溺愛初夜～

「いつもは特別祝ったり、感慨深くなったりはしない。でも去年、機長になるという夢を三十三歳で叶え、少しは自分を労ってもいいんじゃないかと思ってね」

　なんて謙虚な人なのだろう。ふと思うどころではない。常に思っていても罰はあたらないのでは。

「コーパイの紺野さんは？　CAさんたちとお祝いしないんですか？」

　彼女たちなら全力で祝うだろうし、そもそも椎名さんの誕生日を知らないとは考えられないので誘いは受けたはず。

「全員が同じホテルではないんだ。それに見てわかる通り、俺はテンションが低めでノリがよくない。だからひとりでいた方が気楽なんだ」

「そうなんですね……」

　相槌を打ちながら、ちょっと待って、と動悸がした。

　ひとりがいいと言っている人のそばにいる私って、だいぶ迷惑なのでは？

　だからといって「じゃあ失礼します」と言ってこの場を立ち去るのも失礼だろう。