凄腕パイロットの極上愛で懐妊いたしました~臆病な彼女を溶かす溺愛初夜~
「ふたりの時間がもっとほしかったとかはないですか?」

「なくはないけど、ふたりより三人の方が喜びも楽しみも倍増するし、それはそれでいいんじゃないか」

 前向きな思考でいる虹輝さんはやっぱり素敵だ。

「それに俺の実家はそう遠くない。両親に子供を預けてデートくらいできるだろう。菜乃はこれまで自分ひとりで抱えてきたかもしれないが、俺と結婚するというのは、頼れる人間が一気にたくさん増えるという意味も持つと、覚えておいてくれ」

 そっか。結婚したら虹輝さんの家族の一員になるんだよね。

 一度にたくさんのプレゼントをもらった気分だ。

「つわりはあるのか?」

「なんとなく胃がムカムカするときもあるけど、とくに目立った症状はないです」

「それはなによりだが、これからどうなるかわからない。早く籍を入れて会社に報告しよう。その前に両家への挨拶か。でも菜乃は妊娠しているしフライトは……」

 なんて頼りがいがあるのだろうと笑い声をこぼす。「ん?」と声が降ってきて顔を上げた。

「幸せを噛みしめていただけです」

 クスクス笑うと虹輝さんは目を細め、触れるだけの優しいキスをした。

「ずるいな。俺にも噛みしめさせてくれ」

 そう言ってもう一度口づける。考えなければいけないことはひとまず置いておき、何度も唇を求め合い、私たちは幸福感に酔いしれた。


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