凄腕パイロットの極上愛で懐妊いたしました~臆病な彼女を溶かす溺愛初夜~
 もうすぐ十月を迎える外の空気にはまだ熱気が残っているけれど、爽やかな風が吹くと心地よさが感じられる。

 平日の昼下がり。人がまばらな中、水色の空を背負って菜乃と向き合う。

「菜乃はきっと幸せな家庭に憧れていると思う」

 突然始まった俺の話に菜乃は耳を傾けた。

「俺はその夢を叶え、夢ではなく現実にすると約束する」

 菜乃が唇を噛み、両手を胸の前で握り合わせた。一歩近づき、きつく握りしめている彼女の手を掴んでそっと広げる。

 それからオフィスに寄った際にこっそりポケットに忍ばせておいた指輪を取り出し、菜乃の薬指にはめた。

「これ……」

 菜乃の瞳がゆらゆらと揺れる。

「順番がちぐはぐになってすまない。入籍前に渡せてよかった」

「綺麗……ありがとうございます」

 菜乃の瞳からポロッと涙の粒がこぼれ落ちた。

「俺を好きになってくれてありがとう。菜乃も、お腹の子も、もしかしたら空の上で順番待ちをしているふたり目の子も、俺の人生をかけて幸せにするよ」

 指の腹で菜乃の涙を拭き取る。

「三人目もいるかも」

 菜乃はクスクスと泣き笑いをしながら、俺の指を掴んですりすりと頬を擦り寄せた。

 可愛すぎる行動に、互いに制服姿だがキスをしていいだろうかと苦悩する。
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