凄腕パイロットの極上愛で懐妊いたしました~臆病な彼女を溶かす溺愛初夜~
「Gear up」

 機長の俺が指示をして、コーパイの紺野が抵抗を減らすためにタイヤを格納。効率的に速度と高度を上げていく。

 十一時五十五分、巡航高度に到達し自動操縦に切り替えた。

 多いときは一日に四フライトある。だけど何度操縦桿を握っても、慣れたり、緊張感から解放されたりはしない。

 日々重圧に耐え、精神的にも体力的にも休まらないこの仕事を続ける理由は、飛行機を操縦するのが好きだからだ。

 これ以上夢中になれるものに、俺は二度と出会わないだろうと思っていた。

 それなのに、ふとしたときに脳裏をかすめる新川さんの笑顔に、心が揺り動かされているのを認めずにはいられなかった。
 

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