クールな外科医はママと息子を溺愛したくてたまらない~秘密の出産だったはずですが~



建物を出ると外は秋の風がそっと頬を撫でた。

気温もだいぶ下がり、秋らしい過ごしやすい気候になってきた。

今度の休日は天気がよかったら頼とどこかお出かけでも行こうかな。



そんなことを考えながら建物の角を曲がった、そのとき。

前方からこちらへ曲がってきた人とドンっとぶつかってしまう。



「わっ!」

「うわっ」



思い切りぶつけた鼻をさすりながら「すみませ……」と言いかけた。

けれどそこにいたのはメガネをかけ青いシャツを着た男性……智成さんだった。

先日のことを思い出し一瞬で渋い顔になる私に、彼の顔も怪訝なものとなる。



「……先日はどうも、お邪魔しました」

「あぁ。手土産の安いクッキー美味かったよ」

「悪かったですね、安物で!」



庶民にはそこそこのお値段だったんですけどね!

相変わらず嫌味っぽい人!



ふんっと顔を背けた私の態度は、彼の癇に障ったのだろう。その手は私の頭をがしっと掴む。



「なんだそのかわいげのない態度は。親の前ではいい子ぶりやがって」

「ぶってません、社会人として当然の態度をとっただけです」

「なら俺の前でもその社会人として当然の態度とやらをしてみろ!」

「嫌味言ってくるような人にはしません!」



ああ言えばこう言う私に対し、智成さんは呆れたように手を離す。


  
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