クールな外科医はママと息子を溺愛したくてたまらない~秘密の出産だったはずですが~



厳しい寒さの冬を越え、3月の暖かな陽気に春の訪れを感じ始めた頃。



小児科病棟の受付から見える大きな窓。

その外に並ぶ背の高い木々には、少しずつ桜の花が咲き始めていた。

今日もいい天気だ、と太陽の眩しさに目を細める。



「おぎちゃん、おはよー!」



すると病室から出てきた子供たちが一斉に、元気よくこちらへ声をかけた。



「おはよう、みんな。今日の体調はどうかな?」

「げんきー!」

「はやくあそびたーい!」



パジャマ姿で明るく笑う子供たちにつられて笑いながら、一瞬ここが小児科の入院病棟だということを忘れてしまいそうになる。



ここは、【東京国際中央病院(とうきょうこくさいちゅうおうびょういん)】という、メディアでも名前を見るような名の知れた病院だ。



東京・銀座からほど近いアクセスのよい立地にあり、外来棟から救急棟、入院病棟の3つの等から成り立っている。

その大きな敷地内には、系列の医療大学や看護学校、保健センターやリハビリセンターがあり、さらにはコンビニやカフェまである。まるでひとつの街のような規模感だ。



その病院の入院病棟の一番奥にある小児科で、私、荻野美浜(おぎのみはま)は小児クラークとして働いている。



  
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